クドリャフカの順番 - 「十文字」事件

米澤穂信さんの「クドリャフカの順番 - 「十文字」事件」読了。

古典部の四人それぞれの視点を折り混ぜながら物語が進む。それぞれの語り口でそれぞれのキャラクターがよく分かって面白い。いつも笑顔の福部の心中が、なかなかに複雑なこともそうだけど、千反田の中身がほんとうに好奇心以外は世間知らずのお嬢様であることなんかはそれよりももっと意外だった(外見と立居振舞はお嬢様でも、実は内面は触れなば切らんとでもいうような鋭さで折木を自在に操っているのだと思っていた)。

それはともかく。折木によって謎は解かれ、古典部の大問題も無事解決するのだれど、今回、真の解決は折木と福部(と犯人)とが知るのみで、千反田と伊原には知らされない。折木が真相を隠してなんとか説明をしようかというところで物語は終わっている。果たして、どういう説明で千反田と伊原を納得させたのか(あるいは納得させることができなかったのか)興味のあるところ。